#06 「褒める」コミュニケーションの提案

コミュニケーションとは相互に意思の疎通を図ることです。
猫と人間のコミュニケーションでは、どのように意思の疎通が図られているのでしょうか?
言語を持たない動物と、より良いコミュニケーションをとる方法を考えてみましょう。

相互ですから「猫の気持ち」と「人間の気持ち」と言う両面を考える必要があります。
今回は「猫の気持ち」を中心にお話しようと思います。


「褒められて伸びるタイプ」なんて言葉を聞いたことがありますか?
褒められて嬉しくない人なんていないでしょうし、きっとみんな褒められて伸びるタイプなんじゃないかなと思うのですが、どうでしょう?
褒められても伸びない人がいたとしたら、それは褒め方や褒めるタイミングのほうに問題があったとは考えられないでしょうか。
闇雲に「スッゴ〜イ!」とか「上手上手!!」などと言われても、素直に喜ぶことが出来ない時ってありますよね?
「うそ臭い」と感じたり「今言うことじゃないんじゃない?」なんて思いがあったり「私の何を見て褒めてるの?」なんて思うこともあるかも。
その他にも、相手が褒めてるつもりかもしれなくても嬉しく思えない時ってありますよね。
そんな時は褒められても伸びないんじゃないかなと思うのです。
では、上手に褒めるってどういうことなのでしょう?
相手がもっと伸びるように褒める褒め方ってあるのでしょうか?

人間の話?と思われたかもしれませんが、実は猫も同じなのです。
猫とコミュニケーションをとるにあたって、褒めることは重要です!
褒めるという言い方でピンッと来なければ、「喜ばせる」「相手の望みをわかってあげる」と言い換えても良いと思います。
ウチのコが喜ぶことを知ってますか?
ウチのコがどんなことを望んでいるか知っていますか?
「褒める」というのはタイミング良くそのコの望みを叶えてあげることなのです。
こちらが褒めてるつもりで「ナデナデ」しても、もしもそのコがその時にそれを望んでいなかったら褒めたことにはならないのです。
そうやって考えてみると、「褒める」とはとても難しいことなのだと気が付いてもらえると思います。

よく犬のトレーニングで「褒めてしつける(陽性強化)トレーニング方法」というものを目にします。
様々な事を教える時に主にオヤツを使って教える方法です。
「主にオヤツ」と書いたのは、多くの犬たちがご褒美として提供されるものにオヤツを望むからです。
もしも遊びが好きな犬には遊ぶことがご褒美になります。
上手にトレーニングするためには、常にそのコの望んでいるものをタイミング良く提供する技術が必要です。
猫にはトレーニングなんて必要ない、しつけなんて別にしなくても問題ないと思っている方が多いと思いますが、あなたのうちの猫ちゃんは褒められるのが嫌いでしょうか?
今まで読み進めて頂いた事からお分かりだと思いますが、褒められるのが嫌いなコというのは存在しないのです。
ウチのコの望みをかなえてあげること、ウチのコを喜ばせることが褒めることなのですから。
ウチのコが褒められるのが好きなら、褒められる機会がたくさんあるトレーニングは、そのコにとって楽しい時間に他ならないわけです。
ウチのコが楽しめるトレーニングをするためには上手に褒めることが出来るようにならなければなりません。
上手に褒める事が出来るようになるためには、まず初めにウチのコの観察が必要です。
そして好きなものをたくさん見つける必要もあります。
その瞬間に何を欲しているのかを見極める観察力も求められます。
誤解しないで頂きたいのですが、いつでも猫の言う通り、好きな事ばかり提供して甘やかしましょうと言っているのではありません。
ウチのコの望みをしっかりわかったうえで、それをコントロールして提供する技術を身に付け、必要に応じて猫の気持ちに応える。
それが出来るようになれば、きっと猫はあなたのことを、コミュニケーションの成立する相手だと認識してくれるでしょう。

「褒める」という事がコミュニケーションを円滑にする素晴らしいツールであることは間違いないのですが、同時にとても奥の深い難しいものであることも事実です。
「褒める」とはどういう事なのか、また改めてもっと掘り下げて具体的にお話しする機会を作りたいと思っています。